水理計算の基礎知識-17章
管との摩擦によって失われる力
管との摩擦によって失われる力
水が給水用具を通る時と同じように、給水管を通る時にも管壁との摩擦によってエネルギー(水頭)が失われます。
この、管との摩擦によって失われる水頭を、「管の摩擦損失水頭」のようにいいます。
管の摩擦損失水頭は計算式によって算出します。
計算式は通常、管径50mm以下の場合はウエストン(Weston)公式を、管径75mm以上(50mm超)の場合にはヘーゼン・ウィリアムス(Hazen_Williams)公式を用います(資料6)。
(資料6)
また、両公式にはそれぞれ流量図があり、これを用いて算出することもできます。
流量図とは、計算式で求めることができる流量、動水勾配、管径、流速の関係を図にしたもので、(図17-1)のようなものです。
(図17-1)
使用例1(図17-1-①)
流量0.1L/secで管径20mmの時の動水勾配を求める。
Y軸の流量0.1の目盛りから右へ線をたどり、「D=20mm」の斜め線との交点を下に線をたどって動水勾配11‰を求めます。
使用例2(図17-1-②)
動水勾配20‰で管径25mmの時の流量を求める。
X軸の動水勾配20の目盛りから上へ線をたどり、「D=25mm」の斜め線との交点を左に線をたどって流量0.27L/secを求めます。
使用例3(図17-1-③)
流量1.0L/secで動水勾配150‰の時の適切な管径を求める。
Y軸の流量1.0の目盛りから右へ線をたどり、さらにX軸の動水勾配150の目盛りから上へ線をたどった両者の交点の位置を調べます。
管径25mmの斜め線と管径30mmの斜め線との間に交点がありますので、適切な管径は30mm以上であることが分かります。
なお、(図17-1)はイメージ図ですので、詳細は水道局の要綱等に記載されている資料を確認してください。
ところで、計算式の方には管の摩擦損失水頭を求める式がありましたが、流量図には「水頭(m)」の項目がありませんでした。
では、どのように管の摩擦損失水頭を求めるのかといいますと、動水勾配から求めます。
動水勾配については次章で説明します。