水理計算の基礎知識-8章
「戸数」から同時使用水量を算出する
「戸数」から同時使用水量を算出する
章題は「戸数」から同時使用水量を算出する、と略していますが略さずに言うと、「戸数から同時使用水量を予測する算定式を用いて同時使用水量を算出する」となります。
なお説明の都合上、今後この方法による同時使用水量の算出方法を、「戸数」から算出する方法、というように表記します。
この算出方法は集合住宅に適しています。
使用する算定式は「戸数から同時使用水量を予測する算定式」(資料4)です。
(資料4)戸数から同時使用水量を予測する算定式
戸数 | 算定式 |
---|---|
10戸未満 | Q = 42N^0.33 |
10戸以上600戸未満 | Q = 19N^0.67 |
この「戸数」から同時使用水量を算出する方法では、算定式に当てはめるだけで同時使用水量を算出することができます。
それではこの算定式を用いて給水装置全体の同時使用水量を求めてみます。
◆給水戸数8戸の場合
給水戸数が8戸で10戸未満ですので、Q = 42N^0.33の算定式を用い、
Q = 42 × 8戸^0.33
≒ 83.4 L / min
となります。
(注意事項)
計算はべき算を先に行います。乗算を先に行うと正しく計算されません。
Q = (42 × 8)^0.33 ← 誤った計算
= (336)^0.33
≒ 6.8 L / min ← 誤った結果
◆給水戸数30戸の場合
給水戸数が30戸で10戸以上ですので、Q = 19N^0.67の算定式を用い、
Q = 19 × 30戸^0.67
≒ 185.5 L / min
となります。
次に、区間ごとの流量を算出してみます。
(図8-1)の給水装置の、A~Gの各区間の流量を算出します。
(図8-1)
(A~B間)
A~B間の受け持つ給水戸数は1戸ですので、Q = 42N^0.33の算定式を用い、
Q = 42 × 1戸^0.33
= 42.0 L / min
となります。
(B~C間)
B~C間の受け持つ給水戸数は2戸ですので、Q = 42N^0.33の算定式を用い、
Q = 42 × 2戸^0.33
≒ 52.8 L / min
となります。
(C~D間)(D~E間)(E~F間)も同様に計算します。
(F~G間)
F~G間の受け持つ給水戸数は12戸ですので、算定式はQ = 19N^0.67に変わり、
Q = 19 × 12戸^0.67
≒ 100.4 L / min
となります。
計算結果をまとめたものが(表8-1)です。
(表8-1)
区間 | 戸数 | 計算式 | 区間流量 (L / min) |
---|---|---|---|
A~B | 1 | Q = 42 × 1^0.33 | 42.0 |
B~C | 2 | Q = 42 × 2^0.33 | 52.8 |
C~D | 3 | Q = 42 × 3^0.33 | 60.4 |
D~E | 6 | Q = 42 × 6^0.33 | 75.9 |
E~F | 9 | Q = 42 × 9^0.33 | 86.7 |
F~G | 12 | Q = 19 × 12^0.67 | 100.4 |
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