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水理計算の基礎知識-20章
直管換算長とは

直管換算長とは

これまで給水用具の損失水頭は、「この給水用具の損失水頭は○m」というように給水用具ごとに損失水頭を直接算出してきましたが、別の方法として直管換算長により損失水頭を算出する方法もあります。

直管換算長とは、給水用具と同口径の管に水を流した時の管の摩擦損失水頭が、その給水用具の損失水頭と同じになる時のその管の長さのことをいい、「給水用具の直管換算長は○m」のようにいいます(図20-1)(図20-2)。

(図20-1)
直管換算長の説明1

(図20-1)のA-B管の損失水頭は4mです。

このうち管の摩擦損失水頭は、
(5m + 5m) × 200 ÷ 1000 = 2m
であり、止水栓の損失水頭は2mです。

この止水栓の損失水頭と管の摩擦損失水頭が、同じ2mとなるときの管長を表したものが(図20-2)です。

(図20-2)
直管換算長の説明2

動水勾配が200‰ですので、損失水頭が止水栓と同じ2mとなるのは管長が10mのときです。

損失水頭 = 管長 × 動水勾配 ÷ 1000
2m = 管長 × 200 ÷ 1000
  = 管長 × 0.2

管長 = 2m ÷ 0.2
  = 10m

そしてこのときの管長10mを、止水栓の直管換算長といいます。

直管換算長があらかじめ分かっていれば、管の摩擦損失水頭を求めるのと同時に給水用具の損失水頭も求めることができます。

(図20-1)では管の摩擦損失水頭2mと止水栓の損失水頭2mとを分けて求めましたが、止水栓の直管換算長が10mだと分かっていれば、

(10m(A-B管の実際の管長) + 10m(止水栓の直管換算長)) × 200 ÷ 1000
= 4m

というようにして、一度に区間の損失水頭を求めることができます。

なお、給水用具の損失水頭を直管換算長によって求めるのか、個々の給水用具ごとに損失水頭を直接求めるのか、あるいはどちらの方法でもよいのかは水道局によって取り扱いが異なりますので事前に水道局あるいは要綱等で確認しておく必要があります。

(参考)
以下、参考までに直管換算長の算出の仕方を説明しますが、通常は自ら個々の給水用具の損失水頭を算出することはせず、水道局によって給水用具の大まかな種類ごとに定められている直管換算長データを使用して計算を行います。

直管換算長の算出

■手順1

まず標準的な使用水量時における給水用具の損失水頭を求めます。

■手順2

給水用具と同じ口径、同じ使用水量の時の動水勾配をウエストン公式あるいはヘーゼン・ウィリアムス公式等により求めます。

■手順3

直管換算長(l)は、
直管換算長(l) = 損失水頭(h) ÷ 動水勾配(I) × 1000
で求めることができます。

直管換算長の算出例

20mm給水栓の直管換算長を求める。
ここでは流量0.4L/secの条件で求めます。

■手順1

流量0.4L/secのときの20mm給水栓の損失水頭は(図20-3)より、0.8mと求められます。

(図20-3)
直管換算長の算出例1

■手順2

流量0.4L/sec、管径20mmのときの動水勾配は(図20-4)より、107‰と求められます。

(図20-4)
直管換算長の算出例2

■手順3

直管換算長(l)は、

(l) = 損失水頭(h) ÷ 動水勾配(I) × 1000
  = 0.8m ÷ 107‰ × 1000
  ≒ 7.5m

と求めることができます。

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